トヨタ自動車社長交代、かつての時間軸と今の3年は違う

売れない行動を止め、
前提条件と立ち位置を修正し、
売上を取り直すための設計書。

トヨタ自動車で社長交代が行われた。
この出来事は、人事の刷新や世代交代として語られやすい。

しかし、ここで観測できるのは
個人の能力や評価の問題ではない。
経営における「時間の使われ方」が変化しているという点である。

かつての大企業経営では、
社長交代は長い時間軸の中で行われていた。
10年単位での構想、
段階的な改革、
成果が現れるまでの猶予。
これらが前提として存在していた。

現在、その前提が成立しにくくなっている。
技術、規制、市場、社会的要請。
環境の変化は速く、
待つこと自体がリスクになりやすい。

この環境では、
3年という期間は
「短期」ではなく
一つの意思決定サイクルとして扱われる。

重要なのは、
社長交代が頻繁になったかどうかではない。
観測できるのは、
経営判断が置かれる時間の密度が変わったという事実である。

かつては、
時間をかけることが安定を生んでいた。
現在は、
時間をかけることが
前提の陳腐化につながりやすい。

そのため、
経営トップに求められる役割も変化する。
長期的な理想像を描く力だけでなく、
変化する前提を読み取り、
次の判断に切り替える能力が重視されやすくなる。

トヨタ自動車の社長交代は、
企業文化の断絶を示すものではない。
むしろ、
長期を前提としてきた企業が、
短いサイクルで判断を更新する位置に立った

ことを示している。

ここで違っているのは人物ではなく、
時間軸そのものだと観測できる。