近年、新しいMLM(ネットワーク型ビジネス)が次々と登場している。
同時に、かつて拡大していたMLMが静かに消滅していく様子も観測される。
ここで見えるのは、
個別のビジネスモデルの良し悪しではない。
MLMという仕組みが担ってきた役割の変化である。
MLMは長らく、
・所属感
・成功の物語
・努力が報われるという期待
を同時に提供する装置として機能してきた。
参加者は商品や報酬以上に、
「参加している状態」そのものに価値を見出していた。
しかし現在、その価値は維持されにくくなっている。
情報の透明化、SNSによる比較、
そしてAIによる判断補助によって、
物語は短期間で検証されるようになった。
新しく生まれるMLMは、
この変化に適応しようとする。
説明を簡略化し、
参加のハードルを下げ、
短期的な成果や体験を前面に出す。
一方で、消滅していくMLMは、
長期的な信頼や忠誠を前提とした構造を維持できなくなっている。
重要なのは、
人々がMLMに集まらなくなったわけではない点である。
集まる理由が変わった。
かつては「人生を預ける場」だったものが、
現在では「一時的な接点」へと変化している。
その結果、
新陳代謝の速度が上がり、
生まれる数と消える数が同時に増えている。
ここで起きているのは、
MLMの衰退ではなく、
判断を長期間固定する構造が成立しなくなったという現象である。