東京の家賃が上昇している。
新築だけでなく、既存物件や更新時の賃料にも上昇圧力がかかっている。
この現象は、単なる需要増加として語られがちだが、
ここで観測できるのは価格の問題だけではない。
住居が担っている役割の変化である。
従来、住居は
・生活の拠点
・長期的に固定される場所
として位置づけられてきた。
しかし現在、
働き方や家族構成、滞在期間は流動化している。
住居は「定住」よりも、
一時的に利用するインフラとして扱われる場面が増えている。
この構造では、
家賃は生活費というより、
「場所へのアクセス料」に近づく。
東京は、
仕事、情報、文化、医療、教育などへの
接続点が集中している。
その接続性が評価されるほど、
住居そのものよりも
立地が持つ機能が価格に反映されやすくなる。
一方で、
家賃が上がり続けるかどうかは、
単純な直線では捉えにくい。
価格が調整される局面では、
下がるのではなく、
住み方が分岐する形で変化が現れやすい。
・短期滞在
・狭小化
・共同利用
・拠点の複数化
こうした形で、
「住む」という行為が細分化されていく。
観測できるのは、
東京の家賃が永続的に上がるか下がるかではなく、
住居を一つに固定する前提が弱まっているという現実である。
家賃の上昇は、
都市の価値が上がったというより、
都市との関わり方が変わった結果として現れている。