近年、特定の違法行為や犯罪に関与していないにもかかわらず、
銀行口座が突然利用できなくなる人の話を耳にすることが増えている。
事前の予告がなく、
理由の説明も十分にされないまま、
入出金や決済が停止するケースもある。
ここで観測できるのは、
個別の不運や例外的な出来事ではない。
金融インフラの運用構造が変化しているという現実である。
銀行口座は、
個人の財産を保管する場所であると同時に、
社会システムの一部として管理されている。
近年は、
マネーロンダリング対策、
不正取引の監視、
国際的な規制対応などを理由に、
判断の多くが自動化・ルール化されている。
この構造では、
「人として問題があるか」ではなく、
取引や行動が基準から外れたかどうかが先に判定される。
その結果、
本人の意図や認識とは無関係に、
一時的な遮断が発生する。
重要なのは、
口座凍結が罰として行われているわけではない点である。
多くの場合、
リスクを先に排除する仕組みとして作動している。
この仕組みの中では、
信頼は人格ではなく、
履歴とパターンによって評価される。
観測できるのは、
お金を持っているかどうかよりも、
お金をどの構造に預けているかが、
生活の安定に直結している現実である。
銀行口座は、
所有物というより、
条件付きで利用できる社会的インフラとして機能している。