日本の総選挙において、自由民主党が316議席という大勝を収めた。
この結果は、政策評価や支持率の高さとして語られることが多い。
しかし、ここで観測するのは勝敗の理由づけではない。
選挙という仕組みが、どのような前提で機能したかである。
選挙は本来、
複数の選択肢から将来像を選ぶ行為とされている。
だが実際には、有権者が一度に扱える判断量には限界がある。
不確実性が高い状況では、
「より良い選択」よりも
**「分からない状態を避ける選択」**が優先されやすい。
このとき、
長期間政権を担ってきた政党は
「未知ではない」という理由だけで
判断コストを下げる存在になる。
重要なのは、
快勝が強い期待を意味しているとは限らない点である。
観測できるのは、
大きな変更を避ける判断が集約されたという現象である。
また、選挙制度は
票の分散を議席に反映しにくい構造を持つ。
選択肢が多いほど、
結果は一極に集まりやすくなる。
そのため、
支持が圧倒的に集中していなくても、
議席は大差になることがある。
ここで起きているのは、
有権者の熱狂ではなく、
判断を保留したい心理の集積である。
316議席という数字は、
積極的な賛同の総量というより、
「今は変えない」という判断が
制度上、可視化された結果と見ることができる。